【不動産コンサル事例 vol.11-1】その土地、どこからどこまでが貴方のものかご存じですか?

2025.03.14

お客様より実際にサンジミアーノにいただいた相談事を、どのように解決するのか?様々な事例をご紹介します。

今回のご相談内容はこちら。

その土地、どこからどこまでが貴方のものかご存じですか?

お客様

一昨年に夫を亡くし、娘も家庭を持って遠方に住んでいます。
継ぐ人のいない自宅を土地ごと売却して、誘ってくれている娘夫婦の元に引っ越しを検討しているんですが、自分の土地がどこからどこまでなのかはっきりわからない、という問題が起きて売買に応じてもらえず困っているんです。どう解決すればいいでしょうか?

今回のお客様は、代々受け継いできた自宅と土地の売却をお考えとのこと。
「どこからどこまでが自分の土地の範囲がわからない」ことからトラブルになっているようですが、このような事例はありえるのでしょうか?
まずは状況を整理していきましょう。

お客様

この土地には生まれた時から住んでいて、塀があるので、自分の土地の範囲はその内側だと思っていたんです。
ところが調べてみると境界標が見つからず、測量したような記録や書類も無くて……。
以前相談した業者に、このままでは土地の取引はできません、と断られてしまったんです。

なるほど。代々お住まいになっている古い土地とのことですから、土地の境界確定を行っていないのはそう珍しいことではないですよ。

サンジミアーノ

お客様

そうなんですか。それなら問題ないのかしら?

このままでは土地の売買ができないというのは間違いではありません。
土地の境界確定は非常に重要で、非確定の状態では危険です。

サンジミアーノ

「土地の境界確定」とは

「土地の境界確定」とは、土地の所有者間で境界線を明確にし、その位置を正式に確認・確定することを指します。
境界を明確にしていない「不確定」の状態の土地には様々なデメリットがあり、場合によっては土地を失う可能性もある危険な状態と言えます。

土地の境界が不確定状態の主なデメリット

  1. 隣接地とのトラブルや紛争の発生
    境界線を明確にしないと、隣接する土地所有者と境界についての認識にズレが生じ、トラブルや紛争が起こるリスクがあります。
  2. 権利関係が不明確になる
    隣接する土地との権利関係も不明確になり、土地利用の権利(通行権や水利権など)が発生していた場合、それらの権利行使に問題が生じることがあります。
  3. 土地の利用に制限がかかる
    その土地をどのように利用すべきかが不明確にもなるので、境界を越えて建物を建てたり、駐車場を設置する際に問題が生じる可能性があり、土地の適切な活用が制限されることがあります。
  4. 土地の売買が難しくなる
    境界問題が解決されていないと、購入者が安心して土地を購入できず、買い手が付かなかったり、取引が進まないなどのリスクが生じます。
  5. 相続時に問題が発生する可能性
    相続が発生した場合、境界が不確定な土地については相続人同士で境界線を巡って争いが起こることがあります。これが原因で相続手続きが長引く可能性があり、相続の遺産分割がスムーズに進まない場合があります。

このようなデメリットがあるため、原則的に売主は「境界明示」の義務があるのです。


サンジミアーノ


お客様

そんなに問題があったなんて知らなかったわ。でも、うちには昔から塀があるから土地の境界はそれで間違いないと思うのよね。

いいえ。塀があるとしてもそれが土地の境界とは限らないのです。
まずは、土地の境界をさらに詳しくご説明しましょう。


サンジミアーノ

「筆界」と「所有権界」

土地には「筆界」と「所有権界」という、2種類の「境界」が存在しています。
その違いを見ていきましょう。

「筆界(ひっかい)」とは

公法上の境界と呼ばれています。
登記簿に記載されている土地の境界、つまり「不動産登記されている境界」のことをいいます。
筆界は分筆や合筆など、登記手続きにより変更されない限り変更されることはありません

「所有権界(しょゆうけんかい)」とは

私法上の境界と呼ばれています。
「隣地の所有者との話し合いで決める境界」のことを言います。

ここで問題になりがちなのは「筆界」と「所有権界」が一致しない場合があることです。


サンジミアーノ


お客様

「筆界」という法的に決められた土地の境界があるのに、どうして「所有権界」はそれと一致しないことがあるの?

「所有権界」は、隣接する所有者間で自由に変更ができるからです。例えば……。


サンジミアーノ

A地とB地では、元はこのように土地の境界を「筆界」の通りに定めて使用していましたが…。


サンジミアーノ

家を建てたり庭や駐車場を作ろうとした際に、隣地の持ち主と話し合って、お互いが使いやすい土地の形になるように塀を立てました
これが「筆界」と「所有権界」が一致しなくなる一例です。


サンジミアーノ


お客様

なるほど。うちも本来の「筆界」通りではなく、自分たちで決めた「所有権界」で土地を使っている可能性があるのね。

こういったパターンは、後々トラブルの種になりがちですので、土地の境界確定は非常に重要になります。


サンジミアーノ


お客様

重要さはよくわかったけど、同時に不安にもなってきたわ。
これからどうすればいいのかしら?

ご安心ください。手続きを踏んで「境界確認」を行いましょう!


サンジミアーノ

今回はここまで。次回は土地の境界確定までに必要な手続きなどを解説します。

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