サン=テグジュペリに寄せて
2026.02.24
最近、私はサン=テグジュペリの作品に深く傾倒しています。
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリは、星の王子さまの作者として広く知られていますが、改めてこの本を読み返して強く感じるのは、主人公の王子さまは作者自身の幼少期の姿ではないか、ということです。
砂漠で遭難した飛行士の前に現れた小さな王子。
それは大人になった彼が見た夢の中に立ち現れた、幼い自分自身の面影だったのではないでしょうか。
その存在こそが、極限状態に置かれた彼の心を支える拠り所になったのだと思います。
また、アニメ監督の宮崎 駿氏もサン=テグジュペリを敬愛する熱心な読者の一人であり、その作品群から多大な影響を受けていることがうかがえます。
さて、私が現在、幾度も繰り返し読み耽っているのは、城砦です。
この長大で難解な作品は、パスカルの「パンセ」にも通じる哲学的な深みを湛えており、何度読み返してもなお、私の理解を超えた何かを秘めています。
驚くべきは、この深淵な『城砦』と、あの純粋な『星の王子さま』が、ほぼ同時期に構想され、執筆されていたという事実です。
無垢なまなざしで世界の本質を描いた物語と、統治と責任をめぐる壮大な思索。
その両極を同時に抱えながら創作していたところに、サン=テグジュペリという作家の奥行きがあるのではないかと感じています。
Author/樫井 賢一